まずはこちらを見てほしい。
ビジネス書の表紙一覧
ビジネス書の表紙、気持ちわるっ!!

メンタリストDaiGoさんが勝間和代さんみたいになっている件』にも書いたけど、出版社のセンスのなさには驚かされる。

  • 派手な色を使いまくりの下品でどぎつい表紙
  • お経みたいに大量の文字で埋め尽くされた表紙

はたから見たら、情報商材の広告そっくりである。

 

これを本屋のレジで買ってる人、恥ずかしくないの?

目をギラギラさせながら、競馬新聞とかパチンコ攻略本を買ってるオッサンと似たようなもんだけど、自覚はないのか?

 

それが自覚はないのである。

パチンコ店は、客という名の金づるを逃さないためにギャンブル依存症にする。

それと同じように、ビジネス書を売る出版社も、あらゆる手で客をビジネス書中毒にする。

ビジネス書がやってる「バカを騙して本を買わせる方法」

出版社がどんなテクニックを使ってバカに本を買わせているのか分析してみた。

すると、いくつかの共通点がわかったので紹介していこう。

成功者っぽい人がドヤ顔で腕を組んでる

腕を組んでドヤ顔する著者たち
なぜこの中年どもは、そろいもそろって同じポーズをしているのか。

まるで「成功者のコスプレ」をしているようである。

「成功者が本を出すときには、腕を組んで表紙にせよ」というマニュアルでも出回ってんのか? とツッコミたくなるほどの没個性っぷりがおもしろい。

 

「マニュアルどおりの没個性」といえば、大学1年生のファッションを思い出す。

若い男女というのは、どいつもこいつも同じ見た目をしている。
量産型男子大学生ファッション
量産型女大生ファッション

こいつらは自信がないから、すぐに人のマネをする。

大学に入ったばかりで、どんな服装をすればいいのかわからないから、思考停止して他人に頼るのである。

こういうバカは非常に釣りやすい。

著者「ワシは成功者じゃ! この成功者の証『腕組みポーズ』が目に入らぬか!」

バカ「この人は成功者なのか。すごい人のいうことを聞けば自分も成功者になれるかもしれないから読んでみよう」

こうやって「量産型成功者の本」が増え、買う人も増えるのである。

 

バカを騙す方法に「権威性」というものがある。

簡単にいえば「虎の威を借る狐」「肩書きで威圧」である。

バカは強いものになびくのだ。

 

えらい人や賢い人の言うことなら正しいと思ってしまう心理現象で

「ホリエモンが○○すれば稼げるって言ってたんだけど」と伝えれば、バカが食いつくのと同じ原理である。

 

バカに本を売りつけるには、「何が書かれているか」ではなく「だれが書いたか」が重要なのだ。

フリー素材っぽい外国人の画像が使われてる

基本的に日本人は外国人が嫌いである。

そのくせ、外国人(特に白人)のいうことには従いやすい。

上で紹介した「腕組みした成功者」と同じで、外国人を使うのも権威性である。

最近増えているのが、「スタンフォード大学」の権威性にあやかろうとする本。

  1. スタンフォード式 最高のリーダーシップ
  2. スタンフォード式 疲れない体
  3. スタンフォードの自分を変える教室
  4. スタンフォード式 最高の睡眠
  5. スタンフォードのストレスを力に変える教科書
  6. スタンフォードの心理学講義 人生がうまくいくシンプルなルール
  7. 内向的な人のための スタンフォード流 ピンポイント人脈術
  8. LIFE DESIGN(ライフデザイン)――スタンフォード式 最高の人生設計
  9. スタンフォードの脳外科医が教わった人生の扉を開く最強のマジック
  10. 20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義
  11. スタンフォード大に三人の息子を合格させた 50の教育法
  12. スタンフォードでいちばん人気の授業
  13. スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 ミクロ編
  14. スタンフォード&ノースウエスタン大学教授の交渉戦略教室 あなたが望む以上の成果が得られる!
  15. スタンフォードの教授が教える 職場のアホと戦わない技術
  16. スタンフォード大学 マインドフルネス教室
  17. スタンフォード物理学再入門 量子力学
  18. スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義
  19. スタンフォード大学dスクール 人生をデザインする目標達成の習慣

 

ものすごい群がりっぷりである。

日本人のスタンフォード大学に対する憧れは尋常ではないようだ。

日本人女性が白人男性の使用済み下着に群がって、ウットリと匂いを嗅ぐCMが、現実となってしまっている。
(『日本人女性、白人の下着に恍惚…ドイツのCMが大反響』)

架空の人物に自分の言いたいことを喋らせてる

出版社はさらにバカを釣るため、危険な領域へと手を出し始める。

バカみたいなタイトルだが、これらの本はほんとうに売れている。

Amazonでは、上の3つが全部4.0の評価を超えているし、
夢をかなえるゾウ』はレビュー数驚異の1426件である。(2019/05/12現在)

 

なぜこんなにも人気かといえば、やはりバカが大好きだからだ。

最近では、自分の意見を空想上のキャラクターに代弁させる文化が流行っている。

上でも書いたが、みんな自分に自信がないから他人に頼るのだ。

 

たとえばこんなものがある。

【架空のイケメンと恋愛する、通称「嘘松」】
嘘松女子のツイート

【架空の外国人に日本の悪口をしゃべらせて問題提起】
架空の外国人を使った日本叩きのツイート

【架空の父が架空の明治天皇と花見をしてたら、架空の護衛に殺されそうになった人】
創作ツイートで承認欲求を満たす人

このように、「架空の人物にしゃべらせる」というのはだれにでもできるし話題になりやすい。

上のほうで紹介した法則「著者が腕組み」でなくとも、「外国人モデル」でなくとも、大丈夫なのだ。

表紙で架空の人物をアピールすれば、それだけで話題になりバカが釣れる。

 

また、「架空の人物のアドバイス」という設定は、著者にとって便利である。

仮に「あなたの書いた本のとおりにやったけど効果が出なかった!」式の苦情がきたとしても

「この本に書いてあるのはドS宇宙さんから聞いた話です。私に文句をいわれても困ります。文句があるのなら、ドS宇宙さんのほうにお願いします」

と切り返せばいい。

攻守最強の論法である。

「効率」が良いので「一瞬」で効果が出る

ビジネス書は、ひたすら甘い言葉でバカを釣る。

3秒で相手の心が動かせたら、たいしたもんである。

普通に考えたら、数秒で何かが変わるわけがない。

しかしバカは数秒で、人生を一発逆転したい。

 

出版業界はそんなバカを狙い撃ちにする。

1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365
1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法
など、魅力的なタイトルでバカを釣る。

バカが抱きがちな、「ラクをして知識や収入を得たい」という夢を刺激する。

 

「3秒」や「1ページ」で人生が変わるはずないのだが、それを突きつけるのは厳禁である。

無能は心も弱いのだ。

だからひたすら優しい言葉をかける。

「あなたはやればできる人間なんです」
「悪いのはあなたではなくて、脳が最適化されていないからなんですよ」
「あなたが本当の力を発揮できれば、すぐに有能になれるんですよ」

 

無能は優しくされた経験がないから、「あなたは悪くない」「あなたは頑張ってる」式の甘い言葉ですぐ堕ちる。

で、本を買う。

まるでモテないオタクが美人に声をかけられて、怪しいツボを売りつけられる姿を見ているようである。

有能な作家は、本を買わせるだけでなく、読者を「信者」にさせて続編まで買わせる。

で、こうなる

「必ず儲かる」借金し契約 マルチ商法、20代相談突出

 

また、無能にありがちなのは「効率を重視」する傾向。

いかに少ない努力で成功するかに重きを置くのである。

そんな連中を狙い撃ちにしたのが、以下のラインナップ。

無能はなまけ者なので、「効率的」とか「ラクして成功」とか「損しない」とか「一発逆転」みたいな言葉が大好き。

とにかくムダな努力をしたくないのである。

 

極めつけはこちら。

もはや実力をつける努力すらしなくなっているのである。

ここまで来ると逆にすがすがしい。

言い換えれば「あなたは神様におねがいしないと人生を変えられないほどの無能ですよ」と言っているようなもんである。

ビジネス書あるある:読んでも意味ないし、結局人生は変わらない

さて、ここまで読んでもらったらわかると思うが、ビジネス書なんか読んでも意味がない。

お金を稼ぎたかったら、ビジネス書を読むより、ビジネス書を書いてバカから大金まきあげたほうが儲かるのだ。

ということで、これからビジネス書を書こうと思っている作家志望にアドバイスしておこう。

  1. タイトルは『借金1億円を抱えた僕に宇宙出身のドSな神様系ユダヤ人アフリカ象が教えてくれた、スタンフォード式1秒でできる超効率的な成功者への最短ルート34の秘訣』にする
  2. 表紙には外国人モデルを使い、ドヤ顔で腕組みをさせる
  3. 原色を使いまくったド派手な装丁に加え、デカ文字を多用してインパクトをもたせる
  4. 作中では、架空の成功者(もしくは超能力者)を登場させ、読者へ説教をすること
  5. ビジネス書を読む層は、子どものころにアニメを見ていた影響で「努力→勝利」の構図が大好き
    「努力はきみを裏切らない」と書くとバカを騙しやすくなる
    参考:『努力すれば報われると思ってる人は、子供向けアニメを真に受ける残念な人
  6. 「効率的」とか「ラクして稼げる」とか「人生が変わる」とか「一発逆転」みたいな言葉を入れる

このとおりにすれば、必ず売れる。

やっとビジネス書・自己啓発本の洗脳が溶けました

ここまで、ひたすらビジネス書をネタにしてきたけど、じつは私はビジネス書が大好きでした。

ついこの前も、『【読書法】人生を何も積み上げてこなかったニートが読書で人生を変える』なんていう恥ずかしい記事を書いた。

いやぁ、我ながらバカで無能だなと思います。

 

上で「バカは効率を求める」と書いたけど、まさに私がその典型です。
(効率厨の人生って絶対成功しない。自殺するのに効率化を求めたバカの話)

ビジネス書で人生が変わるとか、救えないレベルのバカでしたね。

ビジネス書が嫌いになった理由

私は「読書メーター」に読んだ本を記録しているのだけど、ある日ページを開いたらこんなのが出てきた。

ビジネス書の表紙
なんて品のないデザインなんだろう。

すっげぇギラギラしてて、パチンコ屋の装飾みたいでビックリした。

「なんで今まで、この下品さに気づかなかったんだろう……」

自分はこんな本を読書メーターに登録していたということに恥ずかしくなりました。

 

ビジネス書なんていうものは、これまで書いたように「バカを騙す商法」だったり、「コンプレックス商法」だったりです。

自分に自信のないバカは、いつまでも搾取され続けます。

あなたも、早くビジネス書中毒から卒業しましょう。