『トライアングル』感想

プロットがよく練られていてストーリーがよい

最初は殺人鬼から逃げるパニックホラーか? と思い

その次はループ世界から脱出する話か? と思った。

ここまでだったら割と普通のストーリー。

 

だけどまさか、その先があるとは!

 

客船の中がループしているのだと思っていたのだけど(船の中に異空間があって、船の中だけループしてると思ってた)、
船に乗り込むよりもずっと前からループという名の地獄が始まっていたなんてッ!

この脚本書いた人、やるじゃーん!!

すっかりやられました。超ビックリ!

 

二転三転するストーリーで最後はどんでん返し。

なおかつ伏線回収もしている。

 

最高ですわ。

 

全体を通して、不気味さ・非日常さが出ていて引き込まれた

私は不気味なものが大好きなので、とーーーーーっても楽しめました。

不気味だと思ったもの一覧

  • 海で漂流してクローズドサークル化
  • 顔を隠した殺人鬼が登場
  • 主人公の感じた既視感などのナゾ要素
  • サリー(茶髪の女)の死体がズラーっと映るところのインパクト

甲板に大量の死体が積み上げられてるシーン最高すぎるだろ・・・

あのシーンが個人的にNo.1カットでした。

あのインパクトはすごい。

 

ポイントは「死体が大量」ではなくて「同一人物の死体が大量」ってとこだよね。

さらに言うなら、カモメの羽などがプラスされて汚らしさを増してる点がよい。

 

もっと言うなら「山積み」ってとこがいいわ。

死体がキレイに横並びしててもつまらん。

それが積み上げられてるのが非常によい。

死体の上に死体が乗ってるのが最高に不気味である。

 

長いループを「モノ」で表現することで伝わる絶望感がよい

上で書いた大量の死体の件と似てるけどさ、
ほかにも「主人公のペンダント」や「カモメの死骸」、「手書きのメモ」なんかも大量にあったよね。

あれがあるってことは、主人公はとんでもない回数のループを繰り返してるってこと。

 

それを想像したときの絶望感ヤベーな。



そんで最高だな!

ジェス(主人公)には悪いけども、見ているこっちからしたら不気味さ絶望さが最高によい。

 

言葉によってループを説明しているのではなくて、それによって積み上がったモノ(ペンダントやカモメの死骸)で説明しているところが恐ろしさを際立たせていて最高なのだ。

 

別視点で垣間見える、キャラクターの異常性にホレる

海に落とされた主人公が海辺に漂着→家に帰ったとき、主人公が過去の自分を見るわけですが、

すっげーヒステリー女だったじゃないですか。

私、ああいう「三人称視点で見るとイメージが変わる系」の展開大好きなんですよ。

 

最初はジェス(主人公)の視点でストーリーが進んでいたから、観ているこっちとしては彼女に感情移入していました。

視聴者は、彼女の視点で話が進むので、彼女の言うこと・考えることを無条件で信じ込むんですよね。

だけど、客観的に見てみると実はスッゲー嫌なヤツでした、ってオチが好きです。

 

小説でいうと『暗黒女子』や『ぼぎわんが、来る』も、ほかの人の視点でキャラクターの異常性が明らかになるシーンがあります。

暗黒女子

謎の死を遂げた女子生徒をめぐって、数人の生徒が事件について知っていることを暴露していく話なのですが、人の裏の顔がつぎつぎに明かされていくさまがものすごく不気味!!
私としては、星1000個ぐらいあげたい最高におもしろい作品です。

ぼぎわんが、来る

良くも悪くも「2chの怖い話」っぽさがある作品。
八尺様の話が好きな人は気にいるかも。
第22回日本ホラー小説大賞受賞作。

つっこみポイント

主人公強すぎ問題

主人公が殺人鬼に銃を突きつけられたシーン。

主人公は銃を掴んで回避、そのあと手すりを基点にして2階から1階に飛び降りる。

運動神経ハンパねーよ。

しかも手すりを使って飛び降りたやつ、失敗したら海に真っ逆さまだから。

 

ジェスよ、オメーは普通のシングルマザーじゃねーだろ。

 

しかもその後、海辺に漂着した主人公は走って家まで帰ってるからね。

おいおいバケモノか?



『トライアングル』考察

最後に交通事故を起こして死んだはずの主人公はなんで生きてんの?

私の考えとして、

死神(タクシーの運転手)が生き返らせたんじゃね?

って思います。

客船の廊下にある絵を見たダウニーとサリーのやり取りで以下のようなものがありました。

「アイオロスはギリシャの風の神で、その子シーシュポスは山に押し上げては転げ落ちる岩をくり返し運びあげるバツを受けた。

「酷いバツだな。何やったんだ?」

「死神を騙したの。死神との約束を破ってこの世に居座った。」

死神を騙したっていうのは、「自分自身を殺して偽装をしたこと」そして「過去を変えるためにヨット乗り場に向かったこと」なんじゃないかな~って思います。

 

交通事故で死んだ主人公を死神が一時的に生き返らせて、「これからどうすんの?」みたいな質問をします。

あそこがループするかどうかのルート分岐地点だよね。

そんな「過去を変えること」を選んだ主人公の心に、死神はつけこんだ(バツを与えた?)んじゃねーかなって思うよ。

 

それにしても「山に押し上げては転げ落ちる岩をくり返し運びあげるバツを受けた。」って、これ『メタルマックス2』じゃん。
トラウマを思い出させるのはやめてくれよ・・・・。
(メタルマックス2というゲームのなかで、運動場にあるドラム缶をひたすら押し続けるという拷問がある。)

おすすめのループもの

SIREN: New Translation

これは閉鎖的な村の怪しい風習に巻き込まれた人たちのホラーゲームです。
この作品に出てくる人たちは全員呪われてずーっとループする無限地獄に閉じ込められるわけなんですが、
そのループ地獄を引き起こした原因というのが、心を狂気に染めた人間の行いなんですよ。

とあるキャラクターは自分の娘が数日後に死ぬことを知ったので、その「娘が死ぬまでのたった数日間を永遠に繰り返そう」と考えます。
そんで、自分の命やほかのたくさんの人の命を犠牲にして無限地獄を作り上げるわけなんですよね。

でも、『トライアングル』のように記憶をなくしてループを繰り返すので、見ているプレイヤーからしたら真の地獄としか思えませんわ。

ひぐらしのなく頃に

こっちも閉鎖的な村の奇妙な風習に振り回される作品。
『ひぐらし』は必ず訪れる「惨劇」を回避するために奮闘するストーリーです。
この「惨劇」ってのが惨殺であったり、拷問であったり、仲間同士の殺し合いだったりと絶望成分200%となっております。

絶望、恐怖、勇気、感動が全部入ってる作品! おすすめです!


映画『トライアングル
管理人の評価:★★★★☆