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こちらは私の高校生活を書いた「底辺高校の日常」の第3話となっています。
第1話はこちら「私の進路は底辺高校
目次はこちら「底辺高校の日常 目次
前回までのあらすじ

底辺高校の中でもさらに問題児の集まる「隔離教室」に収容されてしまった私(松浦圭一)は当初こそ戸惑ったものの学校生活にも慣れ、友達ともうまくやっていた。

そして今回紹介するのは底辺高校での授業風景である。

 

 

恐怖! 瞑想地獄!

底辺高校の授業ではまず、瞑想をさせられる。

 

何でも瞑想には潜在能力を開発させる力があるらしく、我ら出来損ないたちを更生させるために行うらしい。



バカか貴様ら。

 

お前らは教育者であろう。

瞑想などというオカルトまがいの方法に頼らず教育によって更生させてみろ。


この「瞑想」。

かなりキツイ。

 

うまくいけば覚醒するらしいのだが、私には一向に覚醒する気配がなかった。

椅子の上でじっとしているというのはなかなか骨が折れるものなのである。

テストは点数を確認せずにゴミ箱へ

私は英語が大の苦手科目であった。

 

中学の英語でつまずいた私は当然高校でも落ちこぼれるのである。

定期試験など全く解けず、ほとんど白紙の状態で提出していた。

 

よって点数が散々だとわかるテスト返却では、先生から返却されたテスト用紙の点数を確認せずグチャグチャに握りつぶしてゴミ箱へ捨てていたのである。

 

すると私の行動を見ていたクラスメートたちがそれを真似し始め、「点数を確認せずに答案を握りつぶしてゴミ箱へ捨てる」という一連の行動が大流行してしまったのだ。

 

その結果、英語を担当していた女の先生を泣かせてしまうということがあった。

H先生ごめんなさい。

 

底辺高校の試験内容は「好きな人の名前を書け」

私はこの底辺高校でも落ちこぼれ、赤点を取ってしまったのである。

 

赤点を取った生徒は一同に体育館に集められ、説明を受けるのだ。

ここでは教師たちから本当に酷い言葉を投げかけられた。

 

そして赤点を取った生徒一人ひとりに「どの科目で赤点を取ったのか」ということが記された書類を渡されるのである。

 

前項であった事件のせいで私は「渡された屈辱的な内容の紙は握りつぶす癖」がついていたので当然この書類も握りつぶしたのだ。

だがしかし、その書類は追試を担当する先生に提出せねばならず非情に怒られたのだった。

 

そして追試当日なのだが、怠け者である私は試験勉強を全くしなかったのだ。

 

試験内容は前回のテストと同じ内容なので答えを暗記すれば簡単に解けるのだが、私には解けなかったのである。

なので先生に「解けません」と言うと

「なら裏に好きな人の名前を書け」と返されたのであった。



よって私は正直に好きな人の名前を書き、提出した。

私は自分の好きな人を学校の全職員にバラされることと引き換えに単位を取り戻したのであった。



授業中はネタ見せ会場

我らが隔離教室の生徒らは人を笑わせることが何より好きであった。

 

皆ボケをぶっ込むタイミングを虎視眈々とうかがい、すきさえあればネタを披露していた。

それは特に授業開始後30分たったぐらいになると我慢できずネタ見せ大会が始まるのである。

 

漫才を披露する者、一発ギャグを見せる者、モノマネをする者。

誰が1番笑いを取れるのか、しのぎを削る闘いが勃発するのである。

 

これでは授業になるはずがない。

だがしかし、教師はそれを黙認するのである。

というかむしろ楽しみにしているかのような素振りさえある。

 

クラスメートたちも

「疲れたからそろそろネタをやれ」

というような雰囲気をプンプンに匂わせてくるのである。

隔離教室からの脱獄計画

ある日授業を受けているとこのような紙が回ってきた。

脱獄計画

 

意味不明である。

だが、また奴らが何かとんでもないことを計画しているということは予想がついた。

 

裏には

「○時○○分に、この隔離教室から脱獄をする。同士は自分の名前をこの紙に書け。」

などとバカ丸出しなことが書かれていた。

 

そして恐るべきことに脱獄に賛同する者の名前がズラーッと書かれているのである。

 

こんなくだらん計画に乗ったバカどもの名前を確認してやるか。



リーダー:松浦圭一


は!?
なぜ私の名前が書かれているのだ。
そしてリーダーとは一体……



するとクラスメートが私の元に来てこう言った。

クラスメート「リーダー、準備は整いました」

やられた。

こいつら、私を脱獄犯のリーダーに仕立て上げやがったぞ。

 

私が取れる行動はただ一つ、無視である。

こんなアホどもに関わってめんどくさいことになるのはまっぴらごめんなのだ。



リーダーの役割:先生たちの注意を引き、体を張って追跡を止める



貴様ら謀ったな!?

 

油断するとすぐこれである。

 

私の役割って要は捨て駒ではないか。

 

私はこんなのやりたくない。

逃げてやる。



そうと決まれば生贄が必要である。

そいつに全部なすりつけてやれ。

そこでちょうど席の近かったN君に強引にリーダーを継承させて私もちゃっかり脱獄することにした。



この後めちゃくちゃ説教された。



マークシート攻略法

底辺高校だから勉強に力を入れていないかと問われれば答えは否である。

むしろかなり熱心な方なのだ。

こちらとしてはものすごく迷惑である。

というのも長期休暇も登校させられて授業を受けさせられたり、できるわけもないのに模試をたくさん受けさせられたりとかなり大変なのだ。

模試については土日に行われるため本当にめんどくさかった。

最初は真面目に受けていたが、だんだん限界が近づいてきた。

だがこの私、松浦圭一はマークシート模試において最強の攻略法を編み出したのだ。

これを読んでくれた読者諸君には特別に教えてあげよう。

 

用意するもの


  • 定規
  • えんぴつ

 

まずはしっかりと名前を書きましょう。

次に定規を当てます。

そうして定規にえんぴつを添えて上下に動かします。

このようになったら完成です。

面倒なマークシート試験が1分ぐらいで終了します。

私はこれを発見してからはずっとこの方法で乗り切っていました。

しかし、普段はダルそうにテストを受けている私が、テスト開始と同時にものすごい勢いで答案用紙に向かう姿を見たクラスメートは訝しみます。

友達「けーちゃん(私のニックネーム)、何やってんの!?」

私「見てみぃや、こんなもん一瞬で終わらせてやったわ」(ドヤ顔)

友達「え…………」




友達「すっげーーーーーー!!!みんな!けーちゃんがすごいことしてるぞ!!」

友達2「うおーーーーーーー!」

友達3「それ、俺のもやって!」

友達6「俺のも!」

友達9「俺のも!」

私「はぁ? これぐらい自分でやれや」




友達「え……だって俺、定規なんて持ってないし……」

そうなのだ。

私は真面目だから定規を常備しているが他のクラスメートは不真面目なので定規など持っていないのである。

ということで友達の分までやらされてしまったのだった。

 

 


ここまで読んでくれたキミに読者プレゼント!

私の考案したマークシート攻略法を使用する権利をプレゼントします!

これで時短できること間違いなし!(^O^)/

限りある人生の時間を有効に使おう!(*^^*)

ただし悪用厳禁なので自己責任で使ってね♪



出来の悪い生徒ほど可愛がられる

私の通う四季高校は底辺高校であったが、天才と称される教師がいた。

数学を担当していたY先生である。

 

彼は教師になる前、数学者を目指していた。

その実力は折り紙つきで、他の数学の先生からも「Y先生は天才だ」と太鼓判を押されていたのだった。

 

しかしながら天才すぎるゆえに、彼にはできない者の心情がわからず指導内容が厳しすぎたのだ。

 

彼の授業を受けた他のクラスの生徒は彼のことを「血の通わないロボット」などと陰口を叩くのだった。

確かにY先生は仏頂面で見るからに怖く、私は彼の授業を恐れていました。

 

しかし2年生になると数学の担当がY先生になってしまったのである。

私は本当に憂鬱でした。数学が苦手な私は怖くて仕方がなかったのだ。

 

ついに迎えた授業当日。

授業が進んでいき、先生が黒板に書いた練習問題を各自解くこととなった。

 

授業初日だし、真面目にやるか……。



Y先生「おい松浦! 最近調子はどうだ!?」

 

えっ!?

話したこともないのにいきなり何!?

 

ロボットなどと称される人物とは到底思えないようなニコニコとした顔で私に話しかけてきたのである。

 

その後も「○○という言葉は知ってるか?」や「普段はどんなテレビ番組を観るんだ?」などと異常なほど話しかけてくる。

 

これは授業中の話である。

こいつ、なぜか私に構いっぱなしなのだ。

 

よくわからんが気に入られたようだな。



友達「けーちゃん、何でロボットと仲良いの?」

私「知らんわ、だけどあの先生は結構いい人じゃ。みんなも話しかけてみぃや」

 

テスト前になるとみんなでY先生に数学を教えてもらうようになるのはこのもう少し後の話。


この先生は最後まで私によくしてくれた。

 

なので私が卒業する際には彼に感謝の手紙を書いた。

だが手紙を書く時のマナーを知らない私はボールペンではなくシャーペンで書いてしまったのである。

 

この時のことを今でも後悔している。

頭の悪いということは罪なのだ。

 

次回予告

「柔道の技っていうのは元々人を殺すためのものだから覚悟してね、松浦くん」

邪な気持ちで柔道部に入部した私(松浦圭一)を待ち構えていたのは不良たちの喫煙所と化した部室だった。
入部していきなり首を締められて気絶したり女の先輩と寝技して骨折したりと散々な目に。
しかしそんなものはこれから始まる地獄の日々に比べれば序の口であった。
本当の脅威と対峙した時、人は人でいられない。

次回、底辺高校の日常
第4話「騙されて入部した柔道部が不良のたまり場だった話