まず最初に、若木民喜さんの経歴がこちら。
- 21才・小学館新人コミック大賞入選。
- 22才・挫折。
- 23才・無職。
- 24才・ゲーム。
- 25才・ゲーム。
- 26才・ひきこもりずらくなる。
- 27才・再起かけて上京。
- 28才・挫折。
- 29才・ゲームでごまかす。
- 30才・ごまかしも限界。
- 31才・取り返しのつかなさを知る。
- 32才・ただ世界の終わりを願う。
- 33才・アルバトロス連載開始。
- 34才・アルバトロス打ち切り。
- 35才・貯金残高1万円。
神のみぞ知るセカイ連載開始。 - 37才・小学館漫画賞落選。
アニメ化決定。
-若木民喜-
学歴は京都大学卒の超高学歴。
そこから漫画家を目指すが、挫折してニートになる。
親からは「穀潰し」、妹からは「気の毒な人」と呼ばれていた若木さん。
30歳無職、貯金残高1万円から、根性で大逆転を勝ち取った!
彼はいかにしてどん底から這い上がったのか!?
学生時代:高橋留美子に心酔
学生時代の若木さんは、高橋留美子さんの『めぞん一刻』にどハマリします。
だから『めぞん一刻』が最終回を迎えると、強烈な喪失感に苦しみました。
ここで若木少年が導き出した答えがこちら。
「よし! 高橋留美子の絵を練習して自分が続きを描こう!」
「自分が高橋留美子の絵柄を完全コピーできるようになったら、高橋先生のアシスタントになって『めぞん一刻』の続きを描くお手伝いをしよう」
と思い至ったらしい。
この時点でちょっと危険な香りがする。
だが若木さんは本気で彼女の絵柄をマネすべく絵の練習を開始。
Twitterでもこのように語っています。
めぞん一刻、と何度言っても言い足りない。RT @tmt0424: @angelfrench 先生が絵を書き始めたキッカケとなった作品はなんですか?
— 若木民喜@キングオブアイドル6巻発売 (@angelfrench) May 25, 2011
使い始めた画材も高橋留美子さんと同じ「ゼブラのGペン」です。
高校時代のボクは、高橋留美子先生の絵を模写することに人生をかけていたのね。で、最初のスクリーントーンも、ボクが描いたラムちゃんをさらにグレードアップ! させるために購入した訳。あの頃のスクリーントーンは一枚600円ぐらいすんのさ。今は大体一枚200円ぐらいだから、ざっと3倍はした。ボクの小遣いは当時2〜3000円。このなかからジュース代も出さなイカン。サンデーも買わなイカン。センイシティのキングオーナーで変形制服買うために金も貯めなイカン。金あらへん。だから、トーン一枚買うのも絶対に失敗は許されん訳。めっちゃくちゃ勇気がいった。
ところが。なけなしの金抱えて大阪梅田三番街の画材店に買いに行ったら、山ほど同じようなトーンがあってどれがどれかさっぱりわからん訳。シロートに40線の10%と50線の10%の違いなんてわかるはずないの。このなかのどれがラムちゃんの髪に貼ってあるトーンなのか・・・ちっともわからない。俺は逃げ帰った。そして次の日、うる星やつらの単行本を持って、俺は何十分もかけてマンガと同じ濃さのトーンを探した。その結果、これに違いない! と思って買ったのが、レトラの72だったの。
https://websunday.net/backstage/wakaki/036.html
「人生をかけていた」とまで語っている。
さらに上の文章の一人称が「ボク」から「俺」へと変わる辺り、相当な熱の入れようが伝わってくる。
ちなみにこの話には続きがあって、高橋留美子さんと同じく小学館で漫画家デビューできた若木さんは謝恩会に参加。
するとそこには憧れの高橋留美子先生が!!
「ラムちゃんの髪のトーンは何番使ってたんですか?」と聞きたかったのだけど、緊張のあまり簡単なあいさつしかできなかったらしい。
やっと高橋留美子の絵柄をマスターできた! 高橋先生のアシスタントになろう!
絵の練習を続けた結果、「これなら高橋先生の戦力になれる!」というところまで到達した若木さん。
どうだ、これが男子学生の執念ぶりだ。
さっそく高橋先生のアシスタントになろうと決心します。



しかし、「高橋留美子が雇うスタッフは女性のみ」といわれ目の前が真っ暗になる。
これ死刑宣告みたいなもんだろ。
肥大化した男子学生の執念をぶった切る高橋留美子姐さんも強烈である。
これにより若木さんは相当ショックを受け、マンガへの情熱を失う。
京都大学から漫画家を目指す
『めぞん一刻』の続きを描くという目標を失った若木さんはフラフラとした生活を送ります。
で、そろそろ大学を卒業して就職という時期になって、
何いってんだアンタ、という感じである。
若木民喜さんの大学というのは京都大学です。
こんなもん京大の名前を出せばどこにでも就職できるだろと思うのですが、ここで若木さんの変人っぷりが炸裂。
自分には絵しかないと思い込み、マンガの世界で勝負することを決意したのでした。
挫折。そしてマンガから逃げ出す
「小学館新人コミック大賞入選」という受賞歴があったので、最初はわりと自信があったらしい。
でも、まったく通用しなかったといいます。
担当編集者に新しい作品を見せに行ってもボツばっかりで自信を失った若木さん。
担当からの連絡も無視するようになり、引きこもりつつゲームをする生活を送ります。
全くネームできず自分はもうダメとわかってるが、それを自分で認めたくないから担当さんに引導を渡して欲しいんだけど、それを聞くのもいやだから、電話全部居留守してゲームをやり続ける。それ半年ぐらい続けると音信不通完成で二ート状態でほっとしたあたりで電話がかかってきてまた最初に戻る。
— 若木民喜@キングオブアイドル6巻発売 (@angelfrench) August 11, 2012
現実逃避してゲームを続ける日々を数年間送っていたわけなんだけど、ある日突然編集者から電話が来る。
とっくに自分の存在なんか忘れられていたと思っていた若木さん、これ感動してもう一度挑戦する決心をする。
だけどなかなかうまくいかない。
ここで10年間もがき続けたらしい。
やっとの思いで初連載! ……だけど打ち切りに
やっとの思いで『聖結晶アルバトロス』を連載したんだけど、全5巻で打ち切り。
10年かけてマンガ家としてデビューできたのに、まったくお金が入ってきません。
今日はヘルプの人が来るので、ヘルプの人の給料のためのお金を下ろしに行ったら、銀行の残高が1万円を切った。これで来週までに何かしらのお金が入らないと、公共料金が落ちない。
http://blog.wakakitamiki.coolblog.jp/?eid=783367
@kuromaru_ @shiro_otsuka 黒丸さんの場合、連載準備長かったからね~。わし、貯金ZEROで連載準備突入した結果、親の年金たかって暮らしてたしね。くず虫。
— 若木民喜@キングオブアイドル6巻発売 (@angelfrench) October 4, 2012
このころはお金がないから、うどんばっかり食べてたらしい。
自分の好きなもので勝負をかける
若木さんは大のゲーム好きで、特にアドベンチャーゲーム(ギャルゲー)がお気に入りです。
その大好きなゲームを次の作品にぶっこもうと思って描いたのが『神のみぞ知るセカイ』。
ギャルゲー好きな主人公が現実の恋愛をしていく話です。
私は『神のみぞ〜』の第一話を読んで、すっげーーーーと思った。
桂馬くん(主人公)おもしろい! エルシィ(相棒)かわいい!
これ絶対すごい人気出るよ! と思ったんだけど、やっぱり人気が出た。
アニメは3期まで作られて、マンガは20巻を超え、700万部以上売れた。
若木さんは『アルバトロス』を連載しているとき、「自分はものごとを長く続けられたことがない」と前置きしてこれまでのことを振り返ります。
- 日記
- ドラム
- プログラム
- ダイエット
すべて途中で投げ出してしまった。
長く続けたことがないって点では自信がある。
そしてこう続く。
しかし、「アルバトロス」でボクは教訓を学びましたよ。人間、これと決めたら継続してやることが大事だということが。
お恥ずかしい話ですが、ボクは漫画家としても、すぐにくじける人間で! 編集者さんに山ほど叱られてました(どれぐらい酷かったかは、ここではとても言えん!)。初めて描いた漫画で新人コミック大賞の入選を取ったのが21歳。それから10年。2か月描いては半年失踪、また2か月やって数年失踪、みたいな蛮行を繰り返していた時は、ボクは漫画家として技術的にも地位的にも「全く」前に進みませんでした。10年間も! 当時の担当さんにも、「お前に賞金払って損した」って言われてたし。そりゃそうだ。
しかし、「アルバトロス」という着想を得、それから継続してやり始めた途端、1年でゼロ同然から本誌連載の企画に出せるところまで行ったのです。休まず続けてやることがどれぐらい力があるのか、よくわかる出来事ではないでしょうか。そういえば、喘息も治ってる(へちまのおかげかはわからんけど)。
みなさんも好きなことは、休まず続けましょう!
https://websunday.net/backstage/wakaki/045.html
この『アルバトロス』が打ち切られてしまったわけですが、そこからすぐに描き始めた『神のみぞ〜』で大成功するのです。
変人変人と書いてきたけど、この人マンガの主人公みたいな人生だ。
ちょっと私の話をさせてくれ
『神のみぞ知るセカイ』との出会い
若木さんは『めぞん一刻』を読み終わって放心状態になったとのことですが、私は『いちご100%』を読んで放心状態になりました。
(そのときのこと:ヤンキー時代の俺、アニメ・マンガにハマって人生が狂う)
長期連載してる作品の最終話を読み終わると、はてしない喪失感を味わうんだよね。
「もうこの続きを知ることができないんだ……このキャラたちと一緒に過ごせないんだ……」となる。
ここで若木さんは「ここから先は俺が描こう」と前向きに取り組みましたが、私は漫画界に対して逆ギレを起こします。
「こんなつらい思いをするのなら、もう二度と恋愛作品は読んでやらん」
そう決心し、恋愛要素の含まれるマンガ・アニメ・ゲーム・映画・ドラマなど、完全にシャットアウトする生活が始まります。
こじらせたまま大学生になる
そこから本当に数年間は恋愛系の作品を読まずに過ごしたわけなんですが、ここで転機が訪れる。
- 『君は淫らな僕の女王』(ただし一巻のみ)
- 『』(エロありだから書いたらBANされる)
を友達に無理やり読まされたのです。
世界にはこんな素敵な話が存在したのかと衝撃を受けます。
そこからはラブコメ作品をとにかく読みまくった。
そして『神のみぞ知るセカイ』にも出会い、ハマる。
読み終わった私は、またとてつもない喪失感に襲われる。
さすがにもう逆ギレはしなくなったけど、それでも読み終わってから数日間は虚無感を引きずったな。
『神のみぞ知るセカイ』の次の作品がこちら。
なのは洋菓子店のいい仕事
若木さんの家では、お菓子禁止だったらしいです。
なので若木さんは少しでも甘いものが食べたいと、とんかつソース舐めて我慢する幼少時代を送っていたといいます。
とんかつソースで飢えはしのげるのか、という愚問はよせ。
目の見えない人が優れた聴覚を備え付けるのと同じ理論だ。
甘いものを極限に制限されると、とんかつソースでも甘みを感じるようになるのである。



とんかつソースで甘味を満たす子どもって、これ完全に社会の闇だろ。
そんな抑圧されて育った結果、大の甘いもの好きになった若木さんはお菓子マンガを描くようになるのでした。
最後にもう一度これを見ると感慨深いものがあります。
じつは私も人生終わってる系の人間です。
若木さんから絵と学歴を抜いたようなのが私です。
(底辺高校の日常 偏差値32の高校に通ってました)
上でも書きましたが、私は大学生のときに『神のみぞ知るセカイ』にハマりました。
話もおもしろいし、絵柄もかわいいしで、「作者の若木民喜って人は天才か?」と思い、若木さんの情報を集めまくりました。
そのときの記憶をたよりにして書いたのがこの記事です。
なので記憶ちがいで誤った部分があるかもしれません。
若木民喜さん申し訳ございません。
もしまちがいなどありましたらメールフォームか下のコメント欄に連絡いただければ修正いたします。
男の娘系アイドルの話です。